ナルキッソスの話

ナルキッソスの話

ナルシスト」「ナルシスティック」という言葉は、元々は精神分析の権威、ジークムント・フロイトが、
ギリシャ神話の登場人物「ナルキッソス」から取り、使い始めたものです。

ニンフ(精霊)の憧れの的であるナルキッソスは、本当に美しい青年です。

そして、ニンフの中でも、特にエコーという名のニンフが彼に恋焦がれ、ついに行動を起こします。

しかし、ナルキッソスはそれを「お前は退屈だ」と、冷たく突き放します。

エコーは自分の意思を言葉で表すことができず、相手の言葉を繰り返すことしかできなかったからです。

エコーは深く傷つき、衰え、やがて声だけの存在になってしまいます。

それを見かねた神ネメシスは、ナルキッソスに罰を与えようと思い立ちました。

他人を愛せないのなら自分だけを愛するようにすればいい、と思ったのです。

ある日ナルキッソスは、水面に映る自分の顔を見て、恋に落ちました。

そして、その水面をずっと見つめていたために衰弱し、最期は水面に浮かぶ自分の姿にキスをしようとし、
水没します。

ナルキッソスが水没したあと、そこには水仙の花が咲いたということです。

この話は、自己愛を忠実に物語っています。

フロイトが新たな「自己愛」という概念に対し、このような命名をしたのは、誰もが「なるほど」と
うなずけることだと思います。

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